2023.01.27
レポート

Z世代のチェンジメイカー vol.1 ~ 一人一人が楽しくSDGsの行動を(金沢大学わこころ)

サステナビリティ・ネイティブといわれるZ世代で、社会変革・社会課題解決に取り組む人(チェンジメイカー)を特集していきます(※)。第1回は、石川県で食料廃棄の削減や、地元企業のSDGsの取り組みの紹介をしている凰(おおとり)えこさんにお話を伺います。

 

凰えこ(おおとり・えこ)

2001年生まれ。 大学1年(2020年)の秋に鳳(おおとり)わこと二人で「わこころ」を結成。規格外の野菜を使ったスープの販売活動や、北陸の企業と学生の新しい交流の場を作る「SDGs就活イベント」の企画・開催を行う。また、石川テレビ「石川さんLive news イット!」の隔週金曜パーソナリティとして「学ぼうSDGs」コーナーを担当。

1. 考える力があるのに、使わないのはもったいない

 

わこころのメンバー、通称「わこえこ」。凰えこさん(左)と鳳わこさん(右)

*鳳わこさんは現在ポルトガルに留学中

 

──いつから、現在の活動をされているのでしょうか。

 

凰えこ(以下えこ):1年生の10月からです。最初は規格外の野菜を使ったスープ販売でした。(鳳)わこの実家が農家で、食べられるのに売ることができない野菜が捨てられる現状をなんとかしたいと。二人とも県外から金沢に来た1年生だったので、金沢にどんな団体や活動があるのか、誰に相談すればいいのかすら、わかりませんでした。

 

──お二人が金沢大学に入学した2020年4月は、まさにコロナの混乱が始まった時ですよね。

 

えこ:そうです。だから対面で会うことも難しく、Zoomなどのオンラインツールを用いながら、手あたり次第いろいろな方に、私たちの思いや、やりたいことをお話ししていました。気づけば半年以上が過ぎていて、最初のスープ試食会を開催できたのは2年生の夏、2021年7月でした。この期間に、さまざまな人に会い、考え方や生き方を知ったことが、今の活動につながっています。

 

スープ作りに奮闘するわこえこ

 

──どうして二人でこの活動を始めようと思ったのですか。

 

えこ:きっかけは、わこが大学の環境問題の授業に感銘を受けたことです。その授業は「社会問題があります、こういうことをしていきましょう」ではなく「じゃあ、あなたならどうしますか?」と、それぞれの意見を尊重する、能動的なスタイルだったんです。授業での問いはどれも答えが決まっていなくて、学生がどんな意見を言ってもそれが一つのオプションとして捉えられ、自分の考えを持つことを大切にする授業だったと。

 

「人生をより豊かにしていくにはどうしたらいいのか一人一人が考え、行動することで、みんなで『私たちにも地球にもやさしい社会』を作りたい。だから、社会問題をみんなが楽しく考えて、自分で解決するための行動を起こしていけるようなきっかけを作りたい、一緒にどう?」って、わこから誘ってもらったんです。その時は思いもよらない誘いでしたが、「やる!」って即答しました。

 

私自身はずっと公立の学校で、社会問題も勉強も「ただ与えられたものをやるだけ、やらなきゃいけないもの」として捉えてきたんです。だから、やらなきゃという義務感ではなく、自分で考えて行動し、みんなで共有する楽しさに、すごくワクワクしました。

 

──わこころの活動は、人びとが自分で行動を起こすためのきっかけ作り。ということは、取り扱うテーマが食料廃棄以外になってもいいのですね。

 

えこ:はい。最初は身近でみんなの生活に欠かせないものがいいということで、料理をすることが好きなわこと、食べることが好きな私で考えた結果「規格外野菜のスープ」にたどり着きました。

 

2.スープから始まり、地域テレビまで紹介でつながる

 

えこ:インスタントやファストフードばかり食べている金沢大学生に野菜たっぷりのスープを提供したいといろいろ模索していたのですが、学内でのスープ提供はコロナなどさまざまな問題があり、なかなか実現できませんでした。しかし、コロナによる自粛期間だったからこそオンラインで学外の方も紹介していただけて。ご紹介いただいてから、1週間くらいで試食会が決まりました。

 

野菜について学ぶわこえこ

 

──半年進まなかったのに、急に1週間で試食までいくんですね。

 

えこ:野菜の卸業者さんに「規格外の野菜を提供するよ」って言われ、はるまき専門店として当時起業したばかりでキッチンカーやポップアップスペースで販売をされていたはるまき家さんに「来週も出店するから、スペースを貸してあげる。スープの試食、提供していいよ」と言われ、気づけば実現していたんです。最初は戸惑ったのですが、あの時一歩踏み出してよかったなと思っています。

 

お世話になったはるまき家さんのスタッフとわこえこ

 

えこ:念願のスープ試食会の実現が決まったのは良かったのですが、まさかの1週間というすごく短い準備期間で、正直どう乗り切ったのか覚えていないくらい忙しかったです。集客も、規格外の野菜からスープを作ることも、初めてのことだったのですが、試食会当日は、50人以上ものお客さんがスープを食べに来てくれて、すごくうれしかったです。

 

規格外の野菜は、当日になってみないと種類や量が分からないので、毎回異なる一期一会のスープを提供しています。また、野菜本来の味を生かすために、調味料は最小限のものしか使わないよう、工夫しています。

 

わこえこの作った規格外野菜のスープ

 

えこ:そして3年生になった4月から8月までの4カ月間、のうか不動産さんが金沢大学の近くで経営しているカフェ・ビーンズで毎週月曜に、規格外の野菜スープを1杯100円で販売しました。

 

のうか不動産さんから「一緒にしましょう」と言っていただけたことで、金沢大学生にスープを食べてもらうという夢を実現することができました。いつか大学内でスープを食べてもらえる日が来るよう、まだまだ頑張っています。

 

カフェ・ビーンズでスープを作るわこえこ

 

──大学の授業もあるのに、月曜日のスープ提供をどう続けていたんですか。

 

えこ:二人で月曜の午前中は授業を履修しないように調整して、朝の7時から11時に販売していました。その中で食材のことを知る大切さに気づき、食品衛生管理責任者の資格取得もしました。規格外の野菜は形が不ぞろいで使いにくい部分もあるのですが、 おいしくて栄養も豊富なので、一人でも多くの人に食べてもらいたいという一心で毎週土曜日に下処理して月曜日に提供を繰り返していました。

 

──大変でしたね。スープ以外の活動はどんなふうに始まったんですか。

 

えこ:振り返ってみれば、ほかの活動もスープのご縁をきっかけに始まっていることが多くて、私自身もびっくりしているんです。例えば、SDGs就活イベントは、大学2年生の時に開催したスープ試食会で出会った方から、一緒にやりませんかと声をかけていただきました。また、石川テレビのパーソナリティもスープ活動つながりで、面白い活動をしているニコイチ女子大生がいると、前のパーソナリティの方から後任に推薦していただきました。

 

現在、私たちが隔週金曜のパーソナリティを担当する「学ぼうSDGs」というコーナーでは、SDGsを教えるのではなく、視聴者と一緒に学んで考えることをテーマに、石川県内のSDGsに取り組む企業や団体をリポートしています。

 

石川テレビ「学ぼうSDGs」コーナー

 

3.「楽しく人生や社会を豊かにしていく人を増やす」ためのSDGs就活

 

2回目のSDGs就活Kanazawaイベント

 

──SDGs就活Kanazawaのイベントはこれまで3回実施されていますが、1回目はお二人が2年生の秋、ということは、お二人が就職活動を経験する前なのですね。

 

えこ:はい、周りが就活を気にしだす時期でした。「就活やらなきゃ」「準備しなきゃ、でもどこに行っていいか分からない」など、結構ネガティブな言い方をする人が多くて。でも、本当は大学を卒業してどこに行って何したいとか、もっとワクワクしながら考えていい時期ですよね。

 

だから、ポジティブに未来のことを考えて行動する企業と学生が交流することで、学生もこの会社に入ったらこういうアクションを取れて、もっといい社会になるって感じたらワクワクするんじゃないかと思って。就活って人生のすごいターニングポイントだから、そこから変わったらインパクトが大きいので、私たちもぜひやりたいと思いました。最初は何も分からず、学生の集客と企画を二人だけで手探りで進めました。

 

──反響はどうでしたか?

 

えこ:北陸にこんな企業があるのを知らなかったっていう声がすごく多くて。もっと北陸の企業を調べたいとか、楽しかったからほかの就活イベントも行ってみたいという感想をいただきました。

 

2022年の6月と10月に開催したイベントでは、北陸圏内の学校の就活支援課にメールを送ったこともあって、ふだんは交流のない学生が半数以上来ていました。企業と学生のフリートークの時間をたくさん設けたので、深く話すことができ、その場でインターンが決まることもありました。

 

企業を調べて、自分で電話をかけてアプローチして、会社のPRを学生に刺さる形で伝えていただけるよう打ち合わせを重ねました。例えば「会社の紹介だけじゃなくて、社員さんご自身が会社のどこが好きかを話してください」と伝えたり。本音を聞けたと学生からは好評でした。

 

4.ニコイチユニット「わこえこ」のその後は?

 

将来について考えるわこえこ

 

──今、わこさんはポルトガルに1年留学中です。帰国したらまた二人の活動になるのでしょうか。

 

えこ:わこはポルトガルで農業のことを学んでいて、それぞれ1人で活動していた経験がきっと役に立つねと話しています。

 

二人でやっていた時はどんなに大変なことも、とにかく楽しくてやりがいがありました。一緒に同じ目標に向かって取り組む人がいる大事さに気づいた1年でした。

 

私たちだけで変えられる部分は少ないけれど、一人でも多くの人がちょっとずつ行動することで、見たことのない大きなインパクトになると思っています。社会も自分の生活も、みんなが楽しめるような、そんな行動のきっかけになる場をこれからも作って、広げていきたいです。

 

 

※Z世代のチェンジメイカーに関するソリューションサービスはこちら

 

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