電通TeamSDGs撮影
第3回「ジャパンSDGsアワード」の受賞報告会が実施された。
3回目となったこのアワード、今年も企業や自治体、そしてNPOなどさまざまな団体の素晴らしい取り組みが表彰された。SDGsのためにあらゆる人がそれぞれの持ち場で取り組むさまは、まさに総力戦。この報告会を通じて、今後の取り組みに当たってのヒントが見えてきた。
第3回「ジャパンSDGsアワード」の受賞報告会が2020年2月15日、政策分析ネットワークの主催で実施された。内閣総理大臣賞・官房長官賞・外務大臣賞を受賞した5案件の受賞者のプレゼンと、それに対する審査講評やコメントで進行。土曜日にもかかわらず、企業、官公庁、自治体、各種団体、学生など300人近い人が詰めかけ、非常に密度の濃い3時間となった。
第3回「ジャパンSDGsアワード」の受賞作品は以下の通り。
外務省ホームページ:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/award/index.html
今年も、企業や自治体などに加えて、商店街や小学校や保育園、NPOなど非常に幅広い団体が受賞した。取り組んでいるゴールやターゲットもさまざまで、まさに各自の課題に取り組んだ、地に足の着いた取り組みであるとともに、全国で横展開できるようなヒントがたくさんあった。
電通TeamSDGs撮影
ここからは当日発表のあった5つの案件について、私がプレゼンテーションから感じたことを紹介していく。
SDGs推進本部長賞(内閣総理大臣賞)
魚町商店振興組合「商店街から発信するSDGs達成に向けたESDの実践」
ESD(Education for Sustainable Development)という、まずは教育に目を向けて、それから実践へと広げていこうという考え方がすばらしい。商店街の中の、さまざまな年代や職業の人たちが、それぞれの持ち場でそれぞれの強みを生かして参画しているのがいい。どんな体制、どんなステップでここまで広げてきたかということを、魚町モデルとして共有していけば、他の街あるいは企業、そして地域や国全体での取り組みの際の大きなヒントになると思う。
副本部長賞(内閣官房長官賞)
大阪府「自治体SDGsの推進に向けた自己分析モデルの構築」
SDGsの17のゴールのどこから取り組んだらいいのかは非常に難しい。自治体のようにすべてに取り組まなくてはいけないところでも、地域の強みや課題を生かしてどこからどう取り組んでいくか、戦略が求められる。その意味ではフラットかつ客観的に地域の実態を把握し、取り組んだ成果をきちんと数値化できるこのモデルは非常にすばらしい。他の自治体にもぜひ共有して、今すぐ横展開してもらいたい取り組み。
副本部長賞(内閣官房長官賞)
「九州力作野菜」・「果物」プロジェクト共同体(代表:イオン九州(株))
「低炭素の活動を通し九州の農業を元気に!『九州力作野菜』®『九州力作果物』®プロジェクト!」
メーカー企業、農業生産者、流通企業など、すべてのバリューチェーンが一緒になって取り組んでいるところが素晴らしい。一つ一つの作物だと“点”に見えてしまうかもしれないが、きちんとロゴマークを作って意義も含めて“面”で見えるようにしているのもいい。この仕組みは九州のみならず他のエリアでも取り組める、非常にいい参考事例。
副本部長賞(外務大臣賞)
特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO International(東京都港区)
「“おにぎり”で世界の貧困問題を解決する『おにぎりアクション』」
SNSの活用で、誰でもが楽しんで気軽に参加できる仕組みであるところが素晴らしい。レシピや子供の写真をアップしたいという消費者のインサイトにマッチしているし、“おにぎり”という日本のなじみの深い食べ物であることも、世界にアピールできる日本ならではの取り組みとして非常にうれしく感じた。今後も賛同者や参画企業は増えていくと思われるので、ぜひ参加企業の方は数ある取り組みの中からなぜこの「おにぎりアクション」に賛同したのかということをきちんと伝えてもらいたい。
副本部長賞(外務大臣賞)
株式会社富士メガネ(北海道札幌市)「海外難民・国内避難民視力支援活動」
難民というと、日本人からすれば遠い課題のように聞こえてしまうかもしれないが、メガネという自社の事業ドメインにもとづき、視力の支援という形で貢献しているのは、今後さまざまな企業や団体が自社ならではの取り組みを考えるための大きなヒントなる。何よりも37年にもわたって社員が現地に足を運んで活動しているという姿勢は、何ものにも代えがたいリアルの迫力があるプレゼンテーションであった。こんなにも長く継続し、世界で賞賛されている取り組みを日本人はもっと知る必要がある。そうすればさらに賛同者や協力者の輪が広がると思う。
政策分析ネットワーク提供 受賞者とコメンテーター
今回の受賞作品は上記以外も含めて、それぞれに意義や特徴がある素晴らしい取り組みであった。これらに続く取り組みにおいて、持続可能な形でさらに賛同者や協力者を集めて、大きなうねりにしていくにはどうしたらいいか。
それぞれの取り組みの意義や価値を、できるだけ端的かつ魅力的に、外に向かって発信していくことが重要だと考える。そのためには、“どう伝えるか”も非常に重要になってくる。伝え方がうまくないと、せっかくの価値ある取り組みも伝わらないし、広がらない。
また今回のように、モデルケースやその良いところを共有することも非常に有意義だ。単に目的や施策の概要だけではなく、どういう体制やステップで進めたか、どのように効果指標を定めて測定したかなど、あらゆることを共有して、ヒントにしていくことが重要だと考える。それぞれの持ち場、それぞれのやり方で実践しつつ、良いものはどんどん共有してまねをしていく。そしてそれをまた共有していく。
先に述べたようにSDGsへの取り組みは総力戦だ。共有することで、単に個々の取り組みを足し上げるのではなく、掛け合わせて大きなうねりにつなげていきたい。
*政策分析ネットワーク(官民連携・社会課題研究センター)とは
「立法・行政(中央省庁/地方自治体)・民間企業・大学・シンクタンク・マスコミ・NPO/NGO・有識者」などの
政策関係者による、様々な政策課題(社会課題)について、
「政策議論(建設的な官民政策対話)」と「官民人的交流」の促進を図るための、「官民連携型:政策プラットフォーム」です。
○設立:1999年4月(登録メンバー:18878名)
○代表:東京大学名誉教授 伊藤元重
——————————————
【政策分析ネットワーク(官民連携・社会課題研究センター)事務局】
○〒171-8588 東京都豊島区目白1-5-1 学習院大学国際社会科学部 伊藤元重研究室気付
○政策分析ネットワーク事務局長 田幸大輔(官民連携・社会課題研究センター長)
○https://www.facebook.com/daisuke.takoh