第6回「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」が2月24・25日の2日間、パシフィコ横浜 ノースで開催されました。
その概要をレポートする後編になります。前編はこちらをご覧ください。
2日目のオープニングは「アジアの力を世界へ」と題し、TBSテレビ・TBSホールディングス総務局CSR推進部部長/スプートニクインターナショナル創設理事の秋沢淳子さん。
「White Canvas ホワイトキャンバス」プロジェクトで、アジアの素晴らしい絵を生み出す才能を発掘し、VR技術を使い多くの人に提示、ブロックチェーンを使い絵が転売されていってもクリエイターに利益を還元していく活動を紹介されました。
さらにプレナリーの「サステナビリティが経営を変える」ではトヨタ自動車執行役員サステナビリティ推進室統括(CSO)の大塚友美さん、サントリーホールディングス執行役員サステナビリティ経営推進本部副本部長の藤原正明さんが最先端の取り組みを披露。大塚さんからの「アクションやプロダクトで発信し、共感と理解を」「意志ある情熱と行動」、藤原さんからの「人と自然と響きあうサステナビリティには潤いある生活文化が必要」というキーワードが印象的でした。

続いて「第4回未来まちづくりフォーラム 」のプレナリーセッションから。
オープニング・トークはビデオで内閣府特命担当大臣の野田聖子さんからこの会議に向けた期待を、熊本県知事の蒲島郁夫さんが熊本県の豊かな自然と災害復興からの発展に向けた取り組みを、披露されました。
キーノート・トークでは、未来まちづくりフォーラム実行委員長の笹谷秀光さんから、未来まちづくりにおいては、SDGs目標11の「住み続けられるまちづくりを」を軸にローカライゼーションすることを推奨。マトリックス整理を紹介しながら、169のターゲットレベルで見ることで、より具体的に課題が見えてくるという実践的なお話でした。
さらに岡山県真庭市市長の太田昇さんが「自治体SDGsモデル事業」として選定された取り組みを紹介。木材を使い切る循環型経済の構築を目指し、木質バイオマス発電所やバイオ液肥・バイオガス実証プラントによって、再生可能エネルギー自給率100%を目標に掲げています。日本のエネルギー自給率はOECD35カ国中34位の11.8%(2018年)。中央集権的な供給体制による余剰発電や送電ロスなどの課題解決は、多くの自治体がぜひ参考にできるモデル事業だと自負されていました。また地域住民はどうしても未来の生活より今の生活に追われがち。根気よく丁寧な対話が重要であることも力説されました。

パネルディスカッションでは、未来まちづくりにおいて「Sustainability(地域の持続可能な社会)」と「Well-being(心豊かな暮らし)」を実現するには、というテーマ。真庭市市長の太田昇さん、NECネッツエスアイ代表取締役執行役員社長の牛島祐之さん、日立製作所サステナビリティ推進本部主管・ESG情報開示研究会共同代表理事の増田典夫さん、そして未来まちづくりフォーラム実行委員長の笹谷さんが登壇され、「グレート・リセット(大変革)」の鍵を握るDX推進によって、自治体などとの共創により共通価値を生み出すプラットフォームづくりが紹介されました。
特に昨年英国グラスゴーでのCOP26で「プリンシパル・パートナー」として脱炭素社会の実現に向けて大きな存在感を示した日立製作所。増田さんからESG情報開示研究会の進捗・展望が熱く語られ、業種・業界を超えた強いリーダーシップを感じました。
その後のリレーセッションでは、損害保険ジャパンの自治体との包括連携協定に基づいた取り組みとして、「防災・減災」「女性活躍」などを中心に持続可能なまちづくりに向けて活動している社員や地域で連携する事業者・団体から、具体的な事例の紹介がオンラインでありました。
また日本製紙からは、木材資源の循環型活用による総合バイオマス企業としての取り組みを紹介。バイオマスマテリアルを最先端技術によって天然素材の食品添加物として活用し、各地の自治体と連携しながら地域の食品や化粧品の事業者との商品開発を進めているとのことでした。
さらに環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室室長の岡野隆宏さんをゲストに、サステナブル・ツーリズムやアドベンチャー・ツーリズムによって観光の量から質へのシフト、自然環境保護と利用の促進による持続可能な地域循環型経済の実現に向けた共創の呼びかけがありました。
ランチセッションでは、WWFジャパン気候エネルギー・海洋水産室プラスチック政策マネージャーの三沢行弘さん、日本コカ・コーラ広報・渉外&サスティナビリティー推進本部サスティナビリティー推進部部長の飯田(眞利子)征樹さん、資生堂経営革新本部サステナビリティ戦略推進部長の中村亜希子さんから、プラスチック諸問題の包括的解決を意図し、「2025年まで」のコミットメントでこの2月に10社で発足した「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」および各社の取り組みについて紹介がありました。

午後のセッションでは、「地産地消による国産SAFサプライチェーン実現への取り組み」に注目。
ファシリテーターの日揮ホールディングスサステナビリティ協創部プログラムマネージャーの西村勇毅さんとパネリストの小田急電鉄経営戦略部ウェイストマネジメント事業WOOMS DX推進マネジャーの米山麗さんは、すでに小田急沿線地域で廃食用油収集のスマート化開発・実証実験で協業しており、またパネリストの全日本空輸企画室企画部マネジャ乾元英さんと日本航空総合調達部燃料グループ グループ長の上野和孝さんは、調査・研究を通じてすでに協業しているなど、同業他社や異業種との協業が不可欠であることを改めて感じました。
国産SAFは廃食用油・食品残渣(ざんし)に限らず、枯れ枝や落ち葉などの一般可燃ごみを燃やさずに航空燃料化するという壮大なイノベーションですが、航空燃料のSAF化が進まなければ日本発着の就航便が減るとの見込みにも驚きました。
最後にご紹介するのは、アサヒグループホールディングスHead of Sustainabilityの近藤佳代子さん、花王ESG活動推進部部長の高橋正勝さん、デロイトトーマツコンサルティングCG&Eユニット執行役員の丹羽弘善さんによる「気候変動×生物多様性」をテーマにしたパネルディスカッション。
気候変動枠組条約COP26でも、森林破壊や生物多様性の問題が大きく取り上げられ、自然に基づく解決方法(NbS)の重要性が強調されました。さらに今後は「TNFD」「SBTs for Nature」のフレームワークによって、「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」からさらに「ネイチャーポジティブ」をキーワードに加えていきそうです。持続可能な事業にとって経済と環境の好循環は脚光を浴びており、再生エネルギーだけでなく自然資源や生物多様性の可視化は、日本にとっても少し明るい材料といえるのではないでしょうか。

今年、大きな動向として印象深かったのは、以下の3点。
・人権デューデリジェンスにおいて、Scope3の目標に向けた可視化の取り組みが始まっていること
・官公庁や自治体の参加が増え、169のターゲットを見据えたローカライゼーションが進んでいること
・サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルに、ネイチャーポジティブの視点が加わったこと
そして、このイベントの大きな意義でもありますが、「再生には自然資源と人的資本の可視化を」「共創には共感を呼ぶ意志ある発信を」、というメッセージが今年を象徴していたかと思います。
会場は多くの若い世代、高校生や大学生の人たちでにぎわい、展示ブースで資料を抱えて担当者に質問したり、セッションの終わりに積極的な質問の手が挙がっていて、頼もしく思いながら会場を後にしました。