2023.01.31
レポート

第75回広告電通賞 「SDGs特別賞」入賞はツムラ「違いを知ることからはじめよう。#わたしの生理のかたち」

第73回広告電通賞(2020年)で国内の総合広告賞として初めてSDGsをテーマにした「SDGs特別賞」が設けられました。
近年高まるSDGsの必要性と期待を背景に、広告コミュニケーションという手段を用いて、サステナブルな社会の実現を目指した広告主を讃えるものです。

3回目となる第75回広告電通賞(2022年)のSDGs特別賞には 株式会社ツムラの「違いを知ることからはじめよう。#わたしの生理のかたち」が選出されました。
この作品は、生理やPMS(月経前症候群)の症状で心身が不調であっても、平気を装って、いつも通りに家事や仕事を行わねばならない「隠れ我慢」という多くの女性が抱える問題について扱ったものです。
我慢とは違う選択肢のアクションを展開する、2021年から始まった#OneMoreChoiceプロジェクトをもとにしており、仕事や家事を休めずに悩んでいる女性からのヒアリングを通じ、その辛さを可視化することで、自分や他の女性の身体と向き合い、他人を思いやるきっかけや、女性だけでなく男性との会話の糸口を作ることにも貢献しています。
3月8日の国際女性デーに合わせて、新聞、OOH、WEB動画で展開され、twitter等のSNSで拡散しました。

広告電通賞SDGs特別賞の選考過程で、選考委員からはこの作品に対し、
・SDGsはアウトプットに重きが置かれがちだが、アンケート調査結果をベースに、丁寧なプロセスを通じて高度に企画が練られている。人々の意識の変容やアウトプットも可視化されてわかりやすい。
・一様ではなく多様であるため伝えづらい症状を上手くデータも用いて可視化し、たとえば女性同士でもわからない痛みや辛さを、男性であっても自分ごと化できるアプローチが斬新。
・対外的なコミュニケーションだけでなく、ツムラ社内に対しても施策を連動していくところで、本気度が首尾一貫している。制作側の優しさを感じ、大変に好感が持てる。
などの意見がありました。

入賞のツムラご担当者から頂いた作品制作に関するコメントは下記の通りです。

 

  • 株式会社ツムラ 
    コーポレート・コミュニケーション室広報グループ
    宮城英子 大山尚美

 

ツムラは、医療用漢方製剤の製造販売を主力とする企業で、2023年4月に創業130周年を迎えます。

生活者の皆さまの健康と長く向き合うなかで、心身の不調症状を一人で抱えたままの方が多い現状に対し、ツムラだからこそできることを考え、2021年から#OneMoreChoice プロジェクトをスタートしました。不調を感じても無理に仕事や家事をすることを「隠れ我慢」と定義し、不調の際に我慢に代わる選択肢=#OneMoreChoice をとれる、提示できる社会こそ、心地よい健やかな社会であると提唱してきました。

そして今回は「生理痛・PMS」の症状による辛さは、個人差が大きく表現しづらいことが、周囲に辛さを伝えない背景にあると着目しました。痛みや辛さを可視化することで、一人ひとりの違いを知り、周りを思いやることや対話へのきっかけづくりを目指しました。

実際に、13人にヒアリングし一人ひとりの感じる痛みや辛さを色や形で可視化する過程は、最も時間を要しました。言葉にすることも難しい「感覚」を共有するために何度も議論し、試行錯誤を重ね細部にまでこだわり抜きました。

公開後には、同性のなかでも違いがあることを表現している、多様性を追求している、女性の気持ちに寄り添う素晴らしい取り組み、女性に限らず多くの人に知ってほしいなど、共感の声を多数いただきました。

今後も、調査に基づき抽出した課題に対し、さまざまな#OneMoreChoiceを提案し、健やかな社会の実現を目指してまいります。

*受賞作品はこちらから
#OneMoreChoice プロジェクトサイト/違いを知ることからはじめよう。#わたしの生理のかたち https://www.tsumura.co.jp/onemorechoice/chigai/
また、今回は惜しくも入賞を逃したものの、選考委員から高い評価を受けた作品と、その担当者のコメントもご紹介します。

 

  • Yahoo!Japan「SEARCH HACK」
    ヤフー株式会社 MS統括本部クリエイティブ企画
                        プロデューサー若林慧 アートディレクター平野彩花

 

本企画「SEARCH HACK」は、2021年秋に創刊したSDGsを冠したメディア『Yahoo! JAPAN SDGs』の初動認知を獲得する主目的で実施しました。
この企画の肝は、「SDGsを知っている」方は多いが「自分ゴト化できている」方はまだ多くないという点。守りに入ったメッセージングだと他人事の殻は破れないが、やり過ぎると白けてしまう―。表現面のバランスには関係者全員がこだわりました。
公開後、ユーザーからはもちろん、SDGsへの関心が強い企業様からも多くの反響を頂きました。社会的課題にかねて取り組んできたヤフーと、SDGsのようなテーマとの相性の良さを改めて感じていただいたほか、今回のような独自性ある演出企画が実はヤフーで実現できるのだという新鮮さがあったのだと思います。今後もヤフーは、社会課題の解決のために、普段は嫌われがちな“広告”の力で何が出来るのかを重要テーマに据えて取り組んでいく予定です。

作品URL:https://richad.yahoo.co.jp/2100japan/lp/index.html ※SP環境推奨
プレスリリース:https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2021/09/22a/
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  • コマツ「誰もが使える機械なら、誰もが働ける現場になる」

コマツ                  ブランド戦略事業部 GM 山本 克明


サスティナブルでレジリエントな都市・環境・インフラ整備のために不可欠な建設業。

本来、建設とは未来を作り出す行為に他ならないはず。しかし、若い世代が入ってこなければ、いくら未来を描いても、それを創造する担い手がいなくなってしまう。
そこで、若い世代にとって身近な「ゲームコントローラー」によって、フル電動ショベルを遠隔操作でき、また遠隔操作で働き方も変わるという、最新のイノベーションを題材に、建設業という未来づくりの行為自体を次世代に繋ぐ訴求を行った。
機械の操作が誰にでもできる未来を想像させるコピーを採用。フル電動ショベルの見せ方をスタイリッシュに。ゲームコントローラーを大きく訴求。二次元コードをビジュアル内の目につく位置にレイアウトし、映像への強い誘いとした。ゲームコントローラーで動かせることが端的にすごい。コマツへの認識が、機械メーカーからデジタル企業へと変わった。など、若い世代を中心に多くの読者・視聴者から評価をいただいた。

 

なお、金田晃一選考委員長と福田里香選考委員の対談がウェブ電通報(2023年1月31日配信)に掲載されています。併せてお読みください
https://dentsu-ho.com/articles/8472

選考委員は、今回もSDGsに高い見識を持つ各界の専門家にお集まりいただき、選考委員長はNTTデータ総務部サステナビリティ担当シニア・スペシャリストの金田晃一氏、一般企業、メディア、NPO他、クリエイターの多岐にわたる専門分野をバックグラウンドに持つ方で構成されています。

今回も選考委員の皆さんからメッセージをいただいています。

                        (役職は2022年11月現在)

 

金田晃一選考委員長(株式会社NTTデータ サステナビリティ経営推進部 シニア・スペシャリスト)

3年目のSDGs特別賞選考委員会でのキーワードは「可視化」でした。SDGs特別賞を受賞された株式会社ツムラの作品は、女性特有の「痛み」を可視化。その他の優秀作品にも、将来の「働き方」の可視化、社会・環境問題に向き合ったときと向き合わなかったときにそれぞれ迎える社会の「違い」の可視化、残った食材の「分量」の可視化、「省資源」に対応した包装材の可視化などがクリエイティブに表現されていました。2030年のSDGs達成年から逆算すれば、今年は折り返しの年です。人々に行動変容を促す「可視化」がキーワードになったことは必然かもしれません。他方、肌感覚ではありますが、「切迫感」を表現する作品は少なかったような気がします。今後は、この「切迫感」に注目していきたいと思います。

上原大祐委員(特定非営利活動法人ディーシップスミニ 船団長)

今年も様々な視点とアイデアで世の中の人の心を動かす広告がたくさんあったと思います。
SDGsは決まった項目がありながらも時代の変化やその年によって捉え方が少しずつ変わっていくものもあると思います。
「今と未来のSDGsを世の中に届ける」これがこの賞の面白い所だと思っています。固定概念に捕らわれることなく、来年も皆さんのメッセージで1つでも多くの気づきを届け、人が行動に移すことができるような作品を楽しみにしています。

島田由香委員( 株式会社YeeY 共同創業者/代表取締役)

SDGs特別賞の審査も今年で4回目。SDGsという言葉の浸透度も高まり、くらしの中で具体的なアクションを起こす人たちも増えている毎日の中で、この広告賞が持つ意義や意味も増しているように感じます。広告ってやっぱりパワフル。それを見ただけでものすごい量とインパクトの情報を与えてくれます。だからこそ、1、2回目よりも3回目の審査は、議論のポイントは深まり幅は広がったように感じました。4回目がどんな場になるのかとても楽しみです。今年もまた書かせていただきますが、この賞の審査をさせていただいている期間は夜な夜な感激して涙したり、唸ったり、心をたくさん動かしてもらっています。関わらせていただけることに感謝しています。76回の広告電通賞 SDGs特別賞にどんな作品が届けられるのか今からとってもワクワクしています。

たかまつなな委員(株式会社笑下村塾 代表取締役)

「なんでもSDGsと言えば免罪符になると思っているんでしょ」「SDGsって何かいいことやっている感を出しているんでしょ」というSDGsに対する不信感が広がりつつあると思います。だから、SDGsウォッシュではない広告を期待しています。

堀江由美子委員(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部)

SDGsの達成期限までほぼ折り返し地点となった現在、「誰一人取り残さない」社会の実現は、残念ながら遠のいています。SDGs特別賞の選考では、毎回多様な表現方法に新鮮な驚きと感動を頂きながら、一貫してこだわってきたポイントは、「誰一人取り残さない」理念が表現されているかということ。「見えないつらさを可視化」し、互いの違いを知り、いたわり合おうという受賞作品のやさしいメッセージは、まさにここに響くものでした

福田里香委員(パナソニックホールディングス株式会社CSR・企業市民活動担当室室長)

今回初めて審査させて頂きました。僭越ながら選考にあたり、SDGsも中間に差し掛かり子供たちはSDGs世代、何かしら日々の行動に繋がるもの、と考えたものの、各作品からそこに込める思いが伝わってきて、これもいい、あれもいい、と、頭と心を悩ませました。少し尖って世に問う作品も鮮烈に心に残りました。
見えていないことを見える形に、起きていないことを想像させる、そんな可能性に今後もワクワクすると思います。

松中権委員(認定特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ 代表)

「社会課題に如何に気づかせるか」から、「社会課題を如何に解決に近づけるか」へ。作品から、取組へ。大きな変化を感じました。一方で、普段から企業が進めている事業自体が本当にSDGs達成に向いているか、SDGsウォッシュになっていないかも、審査において重要になってきました。今年以降、審査結果だけでなく、審査過程での対話も公開できると良いのではないでしょうか。何より、私自身、そのプロセスでたくさんの学びをいただきました。

村田友和委員(株式会社日経BP 日経ESG経営フォーラム業務部)

SDGsWash というワードを最近、耳にする機会が増えてきます。
うわべだけの取り組みになってないか、実質的に事業の取り組みで自社の利益になっているのか?企業や団体のSDGsの取り組みが本質的なものなのか、問われてきています。
応募作品の内容も年々レベルが上がっており、審査させて頂く側も非常に勉強させてもらっています。今後も斬新な作品をお持ちしております!

森本千絵委員(goen゜主宰 コミュニケーションプランナー アートディレクター)

誰もが自分ごととして参加できる道筋を作ることが大切だと思います。平和な世の中に向けて持続的継続な活動をその企業がビジョンを明確にうつしだし、独自性の魅力を持って多くの人
惹きつけ、共に歩めるか。「SDGs」という言葉だけが先立ち、やってる気になっている活動も多く目につく今日この頃です。もはや今、そして未来は「SDGs」は当たり前として、その先
誰とずっと何を育み続けるか。その育みを丁寧に向き合って審査させていただきたいと思っております。今年も楽しみにしています。

米田惠美委員(米田公認会計士事務所 所長)

今回受賞されたツムラさんの作品は、共有が難しい感覚をわかりやすく可視化されたことが素晴らしかったと思います。違いを理解する手段としての可視化の可能性を改めて感じました。また、広告の範疇にとどまらず、この分野での社内取り組みを増やすなど、誠実さも感じ取ることができました。SDGs領域の広告をするならば言行一致しているかも問われる時代ですね。次も心を動かされる素敵な作品に出会えることを楽しみにしています!

 

そして第76回広告電通賞SDGs特別賞は、2022年4月1日から2023年3月末までに実施された広告作品を対象として、2023年募集を行います。
https://adawards.dentsu.jp/assets/daaDownload/daa76/76th_daa_guide.pdf

*SDGs特別賞への応募は、広告電通賞の全7部門(プリント広告、オーディオ広告、フィルム広告、OOH広告、ブランドエクスペリエンス、エリアアクティビティ、イノベーティブ・アプローチ)のいずれかへの応募が必須。そのうち、全国5地区の地区選考を通過した作品が選考の対象になります。

 

評価の視点は、全7部門共通で「ターゲットのこころを動かす力があるか」「広告主の戦略が伝わるか」「チャレンジが感じられるか」「社会的多様性は保たれているか」。
SDGs特別賞の評価の視点として、「『サステナブルな社会』実現のためのアイデアがあるか」「『誰一人取り残さない』など、SDGsへの思いが感じられるか」「SDGsコミュニケーションに『誠実』に取り組んでいるか」の3点が加わります。

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