2023.04.26
レポート

イギリス留学から学ぶ新しい視点 Vol.1

いつもと違う目線で見ると気づくことがある、というのはよく聞くアドバイスです。実際に筆者が1年間のイギリス留学中に目にした“いつもと違う目線”の情報をお届けすることで、読んでくださった方の気づきが生まれれば幸いです。

第1回はリサイクルやプラスチックごみについて

 

街中を見ても、イギリスと日本の違いはいろいろあります。リサイクルという観点でまず驚くのは、チャリティショップの多さかもしれません。私が住んでいた街では、いわゆるショッピングストリートの一等地に、何のためのチャリティになるのかが看板に掲げられたチャリティショップが複数店舗立ち並んでいました。さらに驚くのはその盛況ぶりです。滞在中、いつ訪ねてもにぎわっており、販売物品の寄付をする人も何度か見かけました。友人によると、売り上げを通じてさまざまなことへ貢献できるという理念もさることながら、良い商品が提供されることが多く、ショッピング自体も楽しいのだとか。実際に、友人とのショッピングでもチャリティショップ巡りをよくしていました。こうしたチャリティショップは大学とも連携しており、引っ越しの時期になると大学の一角に寄付ボックスが設置されます。ボールなどのスポーツ用品や食器類、毛布、ブーツなど、まだ使えるけれども引っ越しや帰国時に運搬が難しいものを捨ててしまうのではなく、チャリティに寄与するのです。私も次の誰かにつながればと思い、毛布とブーツを寄付ボックスに託してきました。

 

イギリスではチャリティだけにとどまらず、セカンドハンド市場が特にアパレル業界で伸びているんだそうです。その理由は3点。人と違うおしゃれができること、安価な商品が多く節約になること、そして人権・環境への配慮。大学周辺では、月に1回程度の頻度で「キロバーゲンセール」も周回します。これは大学のホールや教会、コミュニティサイトなどで期間限定的に開催されるセカンドハンドのバーゲンで、1キロあたり15~20ポンドほどで服が買えるのです。1キロというとTシャツやブラウス、ワンピースだと3~4着程度、厚めのジャケットだと1着程度です。スカーフなど軽いものはもはや詰め放題状態でした。お会計で重さが量られ、重さに合わせて課金される仕組みです。3ポンド程度の入場料はかかりますが、それを加えても服1枚あたりの金額は新品に比べて安価です。どれも1点ものとあって、入場チケットが完売するほどの盛況ぶりでした。アパレル業界でたびたび話にあがる労働環境の問題や、環境負荷を気にする若者にとって、それ以外にも利点のあるこれらの仕組みが、服のリサイクルを支えているようです。

 

 

その一方で、家庭ごみのリサイクルについては、日本との違いに最初は受け入れられないものを感じました。日本は家庭内でかなり細かく分別する必要がありますよね。一方で、イギリスでは分別は収集後に工場でおこなうため、家庭では最低限にしか分けないのです。地域によって分別項目は違いますが、留学していた地域では一般ごみか、リサイクル可能かの2択でした。実はどちらの方がリサイクル効率がよいかは難題なのですが、2種類の分別でさえ徹底されていない状態に遭遇することが多く、もどかしい思いをしました。

 

日本ではなかなか分別がされておらず、イギリスでされているのはプラスチックです(※ペットボトルは除きます)。プラスチックは種類も多く、リサイクルコストの高い素材です。それもあり、日本をはじめとするいくつかの国では焼却燃料として扱われ、リサイクルするにも労働単価の安い地域へ輸出する傾向にあります。イギリスにおいても、主に中国に向けて、リサイクルのための廃棄プラスチック(廃プラ)を輸出してきました。2019年から中国が受け入れをやめたことで、廃プラの輸出問題が、主に先進国で大きく取り扱われることとなりました。私が滞在していたのはちょうど2021年1月から、輸入国の同意がない廃プラ取引を禁止する、バーゼル条約の変更が施行されたタイミングです。イギリスでは、中国から主にトルコに輸出先を変更していましたが、このバーゼル条約の変更で、トルコ側の合意が必要となったのです。当初トルコは受け入れを拒否していましたが、その後イギリス政府の交渉によって一転許諾した際は、大きなニュースとなりました。これに対して自然保護団体「グリーンピース」は、「Wasteminster」と題した動画を公開。Westminsterにある首相官邸を、1年間に輸出したプラスチックごみで埋め尽くす映像がを公開し、話題となりました。

 

こうした廃棄問題への関心の高さに加え、そもそものプラスチック生産量を減らす努力も見られています。2020年10月からプラスチック製のストローやマドラーなどの供給が禁止され、2021年4月からはゼロからプラスチックを作るよりリサイクルで作る方が安くなる税制度がスタートしました。カフェでは木製や紙製のカトラリーしか見かけなくなり、スーパーでは量り売りがふえ、中には洗剤などまで量り売り対応をしているところも。個人的には洗剤類は難しい英語表記を理解できるか不安で安手が出せませんでしたが、こうした液体物はお店によって計測方法が異なるからか(重さで量るか、容積で量るか、特定の容器が必要なところも)、あまり利用者をみかけませんでした。一方、野菜や果物の量り売りはイギリスだけでなく、旅行で訪れた欧州の国々でもよく見かけました。購入の仕方は、まず品物の札に記載されている番号をはかりに入力して、品物の重さを計測します。すると、重さに応じた金額が表示されたバーコードシールが発行されるので、それをレジで提示するのです。はかりの周りには紙袋や再利用可能な麻袋などが用意され、ここでもプラスチック製の袋は見かけませんでした。イギリスでは、サンドイッチやお菓子類も紙パッケージで販売するほどの徹底ぶりだったので、日本に帰国し、パン屋さんで一つ一つビニール袋につめられるパンを見た時、日本に帰ってきたのだと実感しました。

 

 

また、自身のプラスチック製品依存に気づかされることも多々ありました。個人的に驚いたのはラップです。一人暮らしをしていると特に小分けにして保存したくなるのですが、私の寮では誰もラップを持っていませんでした。日本は一人あたりの使い捨てプラスチック量が世界2位(UNEP, 2018)というのはよく引用される数字ですが、確かに日常を見回すとその多さに驚くのではないでしょうか。日本での生活に慣れていると、その“過剰さ”に気づくのが難しいのも事実です。最近instagramで面白いアカウントに出会いました。それは「Plastic obsessed Japan」というアカウントなのですが、2016年に来日した方が日常で見かけた過剰包装を投稿しているのです。こうした外からの目線で物事を見なおすことで、当たり前になってしまっている“過剰さ”に気づくことができるかもしれませんね。

 

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